したまちどっとこむが送る、オリジナルの爆笑!?コラムです。読んで笑って・・・さぁ、リラックス!お題は『竜虎(タイガー&ドラゴン)』
とあるうららかな五月の昼下がり。 私は駅前通りから少し入ったカレー専門店のドアをくぐった。「カランコロン」とドアベルの音。 カウンターだけの5〜6人も入れば満員になってしまうこじんまりとした薄暗い店内。 本格的な香辛料の香りと何故か70年代のゴリゴリなアメリカンロック。 すると店の奥から「いらっしゃいませ」 以前この店に来た時には見なかったバンダナを頭に巻いた若者が、私の前に水の入ったグラスを置いてくれた。 そうなのだ。 以前初めてこの店に来た時、年の頃なら60代半ば、どうやら店主らしいくわえタバコのオババに私は言ったのだ。 私:「チキンカレーを通常より辛くしてもらえる?」ギロリと私を見返すオババ。 オババ:「チキンカレーはうちで一番辛いんだけど、だ〜いじょ〜ぶぅ?」 ニヤリと曲がる口元。鼻からタバコの煙。 この勝負(?)負けるわけにはいかない!と私。 ガキッ!とぶつかり火花が散る視線...。 だが私が甘かった。 やがて目の前に置かれた「オババ特製激辛チキンカレー」は私の想像を超えた辛さだったのだ。 オババが投入したカレーの辛味成分ガラムマサラが、一口毎に私の汗とともに体力を奪っていったのだった。 皿の端に無残にも食べきれなかったカレーの残骸。 私:「はぁ、はぁ、はぁ...。ご、ごひそうひゃまれしたぁぁぁ...。」 打ちひしがれる私と、勝ち誇るオババ。 あれから数ヶ月。 一人辛さに対するトレーニングーをつんできた私。 そして今日。バンダナのにーちゃんに 私:「お手間かけて申し訳ないんだけど、チキンカレーのすんごい辛いのを作ってもらえますか」 その瞬間私は感じたのだ。 暗くて見えない厨房の奥から発せられるあのオババの殺気を。 そして待つこと数分。 オババ入魂の「特製激辛チキンカレー」と対峙する私。 そしてライスとルーを一口。口中に炸裂する香辛料の嵐に耐える私。 喉を通過し、食道を通過し、胃に着弾!焼けるような痛みにも似た感覚....。 だがしかしオレはもうあの頃のオレではない。 「...食える」「この程度の辛さなら十分食えるっ!」見事完食出来た私は、 少し声を張って、少し顔を厨房に向けて言ったのだ。 私:「いやぁ、美味しかった。ご馳走様」 勘定を済ませて外へ出ると、爽やかな五月の風が私の顔を撫でていったのだった。 口の周りがちょっとヒリヒリとした。
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