竜虎(タイガー&ドラゴン)

公開日: : したまち爆笑コラム

image37[1]とあるうららかな五月の昼下がり。
私は駅前通りから少し入ったカレー専門店のドアをくぐった。「カランコロン」とドアベルの音。
カウンターだけの5~6人も入れば満員になってしまうこじんまりとした薄暗い店内。
本格的な香辛料の香りと何故か70年代のゴリゴリなアメリカンロック。
すると店の奥から「いらっしゃいませ」
以前この店に来た時には見なかったバンダナを頭に巻いた若者が、私の前に水の入ったグラスを置いてくれた。

そうなのだ。
以前初めてこの店に来た時、年の頃なら60代半ば、どうやら店主らしいくわえタバコのオババに私は言ったのだ。

私:「チキンカレーを通常より辛くしてもらえる?」ギロリと私を見返すオババ。
オババ:「チキンカレーはうちで一番辛いんだけど、だ~いじょ~ぶぅ?」
ニヤリと曲がる口元。鼻からタバコの煙。
この勝負(?)負けるわけにはいかない!と私。
ガキッ!とぶつかり火花が散る視線…。

だが私が甘かった。
やがて目の前に置かれた「オババ特製激辛チキンカレー」は私の想像を超えた辛さだったのだ。
オババが投入したカレーの辛味成分ガラムマサラが、一口毎に私の汗とともに体力を奪っていったのだった。
皿の端に無残にも食べきれなかったカレーの残骸。
私:「はぁ、はぁ、はぁ…。ご、ごひそうひゃまれしたぁぁぁ…。」
打ちひしがれる私と、勝ち誇るオババ。

あれから数ヶ月。
一人辛さに対するトレーニングーをつんできた私。
そして今日。バンダナのにーちゃんに
私:「お手間かけて申し訳ないんだけど、チキンカレーのすんごい辛いのを作ってもらえますか」

その瞬間私は感じたのだ。
暗くて見えない厨房の奥から発せられるあのオババの殺気を。
そして待つこと数分。
オババ入魂の「特製激辛チキンカレー」と対峙する私。
そしてライスとルーを一口。口中に炸裂する香辛料の嵐に耐える私。
喉を通過し、食道を通過し、胃に着弾!焼けるような痛みにも似た感覚….。
だがしかしオレはもうあの頃のオレではない。
「…食える」「この程度の辛さなら十分食えるっ!」見事完食出来た私は、
少し声を張って、少し顔を厨房に向けて言ったのだ。

私:「いやぁ、美味しかった。ご馳走様」
勘定を済ませて外へ出ると、爽やかな五月の風が私の顔を撫でていったのだった。

口の周りがちょっとヒリヒリとした。

推薦加盟店 日替わり紹介

関連記事

歩く人

ソニーの初代ウォークマンが発売されたのが、今から31年前の1979年。 私、青春真っ只中18の夏で

記事を読む

あだ名

「あだ名」 さてそろそろ「梅雨入りの声」も聞こえてまいりましたが、皆様如何お過ごしでし

記事を読む

100円ショップの100円ゲーム

毎日暑いですが、みなさんお元気でしょうか? 唐突ですが私の場合、物心ついた時からのB級好き。

記事を読む

夏の思い出

「夏の思い出」 さて、何だかピリッとしないと言いますか、はっきりしない夏が終わろうとしています

記事を読む

たら・ればの話

「もしあの時~だったら...」そんな風に思うこと、誰にでもありますよね。 例えば「もし昨日あんなに

記事を読む

進化する防災グッズ

「進化する防災グッズ」 西日本を豪雨が襲い猛暑の後に台風が来たり、と日本も異常気象に見舞われて

記事を読む

夏の風物詩

「夏の風物詩」 さてさていよいよ夏本番!皆様如何お過ごしでしょうか? 最近はあま

記事を読む

それが答えだ!

早いもので、5月も終わりもう6月。皆様はいかがお過ごしででしょうか。 さて、最近の私。

記事を読む

今年もお世話になりました

あれれ、ついに今年最後の駄文掲載となってしまいました。 世界経済は悪化、新型インフルエンザもジワジ

記事を読む

紛らわしいったらありゃしない

梅が咲き、桜が咲き...いつの間にか季節はすっかり春。 皆様如何お過ごしでしょうか。 花冷えの週

記事を読む

推薦加盟店 日替わり紹介

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

推薦加盟店 日替わり紹介

「まだ」OR「もう」

「「まだ」OR「もう」」 まずは新型コロナウィルスでお亡くなりに

新し関数「IFS関数」

]]]]] 新し関数「IFS関数」 ]]]]] もし、在庫がなけ

今号のキーワード:Pinterest(ピンタレスト)

今号のキーワード:Pinterest(ピンタレスト) ピンタレス

授業再開のお知らせ

授業再開のお知らせ 政府の自粛要請も解除され、やっと授業を再開で

こんな時だから

「こんな時だから」 しかし今年の正月に、今年のGWがこんな状況に

→もっと見る




PAGE TOP ↑